特産物

八尾若ごぼう

甘みとほのかな苦みで シャキシャキ、春を告げ る

若ごぼうの葉
 ごぼうと名前についているが、根っこだけを食べるのではない。八尾若ごぼう(以下、若ごぼう)は葉っぱ、軸、根、そのすべてを美味しく料理できる八尾特産野菜の一つだ。他の地域では「葉ごぼう」と呼ばれ、出荷時にまるく(曲線状に)束ねるが、八尾ではまっすぐのまま矢を束ねたように出荷。その見た目から「やーごんぼ(矢のようなごぼう)」とも呼ばれている。

 普通のごぼうよりも短い根の部分は、しっかりとごぼうの風味。むしろごぼうより柔らかく、その味が凝縮されているかのよう。その上に蕗にもにた長~い軸。これがシャキシャキとした歯ごたえ。筋があっても堅くなく、口に残らない。葉は薄くてもしっかりしているので、細かく刻んだり、煮込んだり。これまたほんのりほどよい苦みと青さがあって、おひたしなどにすれば絶好の晩酌のアテにもなる。

栄養の塊、かつ美味い理由。

若ごぼうは秋口に種まきをして、収穫は早いハウスもので1月下旬から。トンネル栽培ものなら2~3月。最も味も香りも強くなる露地栽培が出始めるといよいよ本格シーズンで、3~4月中旬。根菜でありつつ葉野菜でもあり、寒い時期に栄養を蓄えて育つためか、実に栄養価が高い。サツマイモの1.5倍の食物繊維、ごぼうの12倍ものビタミンC、ほうれん草の1..6倍の鉄分とカルシウム。また蕎麦のようにルチンを多く含むため、血液をサラサラにする効果まである健康野菜。

 実はこの若ごぼう、冬の間に一度しっかりと葉や軸が伸びるのだが、霜にあたって枯れてしまう。一度目の軸は筋ばっていて食べられないほどで、二度目に生えてきた柔らかいものだけが収穫される。その収穫方法は案外単純で、柔らかく耕した土にしっかりと根を張っているため、鍬などで掘り起こすようにして採るのだ。

 
下ごしらえが美味さを呼ぶ!

 いよいよ食卓へ。その前に、ちょっとだけ下ごしらえをしておこう。まず軸の付け根を丁寧に洗ったら、部位ごとに切り分け、別々に水にさらしてアク抜きをする。

 葉は沸騰したお湯に塩をひとつまみ入れてさっと茹でる。軸は10~20分間水につけるだけ。根は薄皮とひげ根を包丁の背などでそぎ落とし、調理する用途に合わせた大きさに切り分け、30分ほど水にひたすだけ。下ごしらえといってもぜんぜん難しくない。少しの手間で美味しく料理できるうえに、ほんのり残る苦みは、デトックス効果も期待できる春野菜そのもの。八尾若ごぼうは、地域団体商標として登録(平成25年・JA大阪中河内)されている。
刻んだ若ごぼうの葉